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zoom RSS 水金地火【ケ】木土天海冥【カ】【ゼ】?

<<   作成日時 : 2006/08/18 18:52   >>

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 国際天文学連合(IAU)の2006年総会が、現在プラハで開催されているが、ここで新しい「惑星の定義(案)」というのが公表されて、ちょっと話題になっている。

 これは、最近の観測技術の向上により、太陽系内の小惑星の状況がよくわかってきたり、海王星以遠に冥王星類似の天体が次々と発見されてきている状況を踏まえ、IAUが7名からなる"Planet Definition Committee"というのを設けて、新たな惑星の定義を検討していたもの。日本の天文学者、渡部潤一氏もメンバーの一人だ。
 
 新しい定義案は4つの項目で構成されている。順次みてみよう。
(注)和訳は、「国立天文台アストロトピックス(230)」による。


(1)
惑星とは、
(a)十分な質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、重力平衡(ほとんど球状)の形を持ち、
(b)恒星の周りを回る天体で、恒星でも、また衛星でもないものとする。

 今回の定義案では、天体の大きさや質量、あるいは既存の天体との比較等を基準とするのではなく、天体の物理的特性による定義づけを行っている。一見わかりにくくはあるけれど、「Planet(惑星)」という用語を太陽系以外の恒星系の天体についても使用する可能性があることを考えると合理性があると思う。
 もっとも、脚注によれば、この条件を満たす天体は、概ね直径800km(地球の約1/16)、質量が5*10^20Kg(同約1/12000)ということで、これはかなりハードルが低い。結果として、これまで小惑星や衛星として扱われていた3つの天体(最大の小惑星であるケレス、従来は冥王星の衛星とされてきたカロン、現在までに発見されている中で最大の海王星以遠天体(Trans-Neptunian Objects(TNO))で、エッジワース=カイパーベルト天体(EKBO)である2003HB313)が新しく惑星の仲間入りをすることになる。このことが、惑星の数が9→12という形で報道されているのである。
 カロンは、これまで冥王星の衛星として整理されていたが、今回の定義では惑星になる。したがって、冥王星はカロンと冥王星の二重惑星ということになる。



(2)
 黄道面上で、ほぼ円軌道を持つ、1900年以前に発見された8つのClassical Planetsと、 それ以外の太陽系の天体を区別する。後者は、すべて水星より小さい。
  また、セレスは上記(1)の定義から惑星であるが、歴史的理由により、他のClassical Planetsと区別するため、Dwarf Planetと呼ぶことを推奨する。

 (1)のように、「惑星」の範囲を広げつつ、一方で惑星適格性について議論のあった冥王星を除く「水金地火木土天海」については、"Classical Planets"(「古典惑星」or「基本惑星」とでも訳すのか?)というサブカテゴリーを設け、「惑星」という言葉が持つ社会的に広く受容されている意味範囲に配慮している。これも妥当な整理だろう。
 また、ケレス(セレス)は、新たな惑星の定義には合致するが、8つのClassical Planetsと同等に整理するのは適切ではないという判断の下に"Dwarf Planets"(和訳が難しい。「矮惑星」くらいかな?)と呼ぶことが推奨されている。最初、この新定義のニュースを聞いたときに、今更「ケレス」を惑星といわれても困るなあ、と違和感が合ったのだが、サブカテゴリーレベルではあるが、8つの主要惑星と区分が明確であれば、まあ許容できるかなという気がする。
 なお、今回の定義案と併せて、今後の検討結果によっては、上記(1)の定義に合致し惑星の仲間入りをする可能性がある12の天体のリストが公表されている。このうち、アステロイド・ベルト内に位置しているのは、パラス、ベスタ、ヒギエアの3つであり、仮に、これらが惑星となった場合には、ケレスと同様Dwarf Planetsと整理されることになる。



(3)
 冥王星や、最近発見された1つまたは複数のトランス・ネプチュニアン天体は、上記(1)の定義から、惑星である。Classical Planetsと対比して、これらは典型的に大きく傾いた軌道傾斜と歪んだ楕円軌道を持ち、軌道周期は200年を超えている。
  われわれは、冥王星が典型例となるこれらの天体群を、新しいカテゴリーとして、Plutonsと呼ぶ。

 冥王星を惑星というカテゴリーにとどめつつ、「水金地火木土天海」という"Classical Planets"とは違う種類の天体であり、TNOsのうち(1)の定義に合致して惑星と整理される天体群の代表であることを明確にしたもの。これによって、「冥王星は惑星か否か」という議論に終止符が打たれることになる。
 新たに惑星となるカロンとまだ名前が定まっていない2003UB313はいずれも新しいサブカテゴリーとして設けられる"Plutons"(和訳としては「冥王星型惑星」といったところか?)に属することになる。
 また、今後の検討される12の惑星候補のうち、アステロイドベルトに属する上記3つ以外はすべてTNOであり、惑星になった場合はいずれもPlutonsに属することになる。



(4)
 太陽を回る他のすべての天体は、まとめてSmall Solar System Bodiesと呼ぶこととする。

 これは、別の言い方をすると太陽系に属する天体のうち、太陽、惑星、衛星以外のすべての天体は、"Small Solar System Bodies"(「太陽系小天体」?)ということである。アステロイド、惑星近傍小天体、ケンタウルス族小天体、大多数のTNOs、彗星などはすべてこの類型に属することとなる。
 なお、この新たな定義体系の下では"minor planet"という概念は使わないことにしようと提案されている。ということは、小惑星の命名をを担当しているIAUの「Minor Planet Center」も改称するのだろうか?
 一部で「『小惑星』の廃止」といった報道がなされたが、これはミスリーディング。あくまでも"minor planet"という概念の廃止であり、日本語では同じく「小惑星」と訳す"asteroid"という概念が無くなるわけではないので、日本語における「小惑星」という呼称は少なくとも"asteroid"の訳語としては引き続き使用されることになる。



 個人的意見としていえば、今回の定義はよく考えられたなかなか良い案であると思う。冥王星を惑星から外してしまえばいいじゃないかという考えもあるだろうけど、過去数十年において「冥王星も惑星」という考えは社会的には定着しており、それをあえて覆す必要もないだろう。

 惑星は、主要なものとして「水金地火木土天海」の8つがあり、それ以外に遠方にある冥王星に代表される「Plutons(冥王星型惑星)」と比較的近傍にある大型の小惑星である「Dwarf Planets(矮惑星)」の二つのグループがあり、この二つのグループに属する惑星ついては、今後の観測技術の向上等によって数が増加する可能性があるといいうのは、整理学としてもすっきり頭に入る。

(追補)IAUの関係ドキュメントや天文関係サイトをいろいろみてみると、上述のようにPlutonsとDwarf Planetsを同格のカテゴリーであるかのように理解するのは正確な理解ではないようだ。もう少し勉強して別途整理してみる。

 冥王星に代表されるグループを"Pluton Planets"とせずに"Plutons"としているところに冥王星の惑星適格性に関する微妙な配慮がほのみえる気がする。この呼称と概念が定着するにつれて、特に英語の世界では、冥王星について、Planetの一つであるという意識よりは、"Plutons"という特別の天体グループの代表であるという意識が一般的には強くなるのではないか。

 強いて言うと、大きさ基準ではないので、月や大型の衛星より小さくても惑星になる例が多数出てくるところに違和感があるという向きもあろうが、他の恒星系も視野に入れて、物理的性質で定義づけを行う以上割り切らざるを得ないだろう。


 今回の定義案が採用されるかどうかは、24日に決定されるようだが、もし正式に採用された場合、どのような影響があるだろうか。

(ア)和名
 新たに惑星になる3つの天体(あるいは後続で惑星になる天体)に和名をつける必要があるかという点については、個人的には現時点では必ずしも必要ではないと考えている。
 2003UB313については、いまだも仮符号の状態で名前さえついていない。一部で「ゼナ」という名称が使われているが、正式名称は別のものになる可能性が高い。いずれにしても、和名を議論する段階では全くない。また、TNOsの惑星は今後どんどん増えていく可能性があり、すべてに適切な和名を付すことができるかもよくわからない。一部についてだけ和名が付されるという状況は避けるべき。
 また、ケレスについては、既に定着した名称であり、新たに惑星に分類したからといって、わざわざ和名を付す必要性に乏しい。もっとも、Dwarf Planetは、後続の候補を含めても4つ以上には増えないだろうから、パラス、ベスタ、ヒギエアが惑星になるかどうかという結論を見極めてから、惑星になったものについては和名を考えても良いかもしれない。
 カロンについても、ケレスと同様、定着した名前であり、基本的には和名の必要性は無いと思う。ただし、冥王星と二重惑星になるということで、一方だけ和名があるのが気持ちが悪いという声があれば和名を付してもよいかもしれない。カロンは冥土への川の渡し守だから「冥渡星」とか。「メイド星」って何となく響きもいいし......(笑)

(イ)教育現場
  教科書等は書き換えが必要だが、古典的8惑星が基本的な惑星であり、その他にPlutonsグループとDwarf Planetsグループがあるという整理はわかりやすいので、それほど大きな混乱はないのではないか。

 (追補)上の追補でも書いたように、このような整理は正確な理解とはいえない。

8惑星の覚え方も「すいきんちかもくどってんかい」と従来のものから「めい」を外して覚えればよいだろう。

(ウ)占星術
 現代の占星術は既にTNOsについては、結構取り入れているようであり、2003UB313についても、これを考慮した体系があるようである(彼らもそれなりに勉強しているのである)。ただし、ここでも冥王星の衛星に過ぎなかったカロンが格上げされ冥王星が二重惑星になってしまうことと、小惑星にすぎなかったであったケレスがやはり惑星に格上げされることについては、何らかの対応が必要になるだろう。
 もっとも、後付の牽強付会的説明は占い師がもっとも得意とするところであり、そのうち、新しい要素を取り入れたいろいろな論法が考え出されるに違いない。  

(エ)セーラームーン
 従来はセーラーウラヌス(天王はるか)、セーラーネプチューン(海王みちる)、セーラープルート(冥王せつな)が外部太陽系戦士として同格に扱われているが、今回の新たな定義の下では、セーラープルートは別属性になってしまうのではないか。
 また、カロンについては全く触れられていないが、セーラープルートの妹格でセーラーカロンを新たに登場させてもおかしくないだろう。
 また、セーラーカルテットとして、四大小惑星を守護神とするセーラーセレス、セーラーパラス、セーラージュノー、セーラーベスタの四人がいるが、セーラーセレスだけが守護神が小惑星から惑星に格上げされる形になる。もちろん、惑星候補についての今後の検討によっては、セーラーパラスとセーラーベスタの守護神も格上げされるかもしれないが、ジュノーは惑星になる可能性は全くないので(その代わり、ルナツーになってしまったが)、セーラージュノーだけが劣位におかれることになってしまう可能性がある。
 また、ヒギエアについては、これまで全く触れられていないが、これも新興勢力としてセーラーヒギエアを新しく登場させてもよいかもしれない。
 さすがにセーラー2003UB313は.......ないな。

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天体用語
2006/08/19 05:47
惑星が増えました
占星術的にはいかがなものか・・・ ...続きを見る
サイエンスな日々
2006/08/20 21:55

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